■戸田の虎[とだ-とら]▽解説 岩手県九戸郡九戸村に伝わるものです。 奈良時代、南方から追われた虎たちは北上を続け、津軽海峡に阻まれて陸奥の地で過ごしていました。戸田の八幡宮の裏山である小松鞍にも、年老いた一頭の虎が住みついていました。 ある日、虎は塞ノ ...
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油取り
■油取り[あぶらと‐]▽解説 何らかの材料に用いる等の目的で人間の血や油をしぼり取る者たちがいるという話は古くからあり、たとえば人の血で絞り染めを作る「纐纈城」型の話は『今昔物語集』巻十一などにみられます。同様の話は全国に民話としても伝わっていました。 ...
ホゼ
■ホゼ▽解説 岩手県九戸郡山形村では、人の生命力のようなものを「ホゼ」と呼んでいたといいます。 人妻が十円硬貨大の光る玉がぽっぽっと飛ぶのを見ることがあり、それにより妊娠したことを悟るといいます。 この光る玉が体内に入ると、それが赤ん坊の「ホゼ」となりま ...
面白いぞ
■面白いぞ[おもしろ‐]▽解説 『遠野物語』に記されている怪異です。 これは菊池弥之助という老人の若い頃の体験談であるといいます。 ある薄月夜、弥之助は仲間たちと共に浜へと通じる境木峠を越えようとしていました。 笛の名人であった彼は笛を吹きつつ大谷地とい ...
金の牛
■金の牛[きん‐うし]▽解説 東北地方の鉱山地帯に伝わるもので、佐々木喜善の著書では「黄金(きん)の牛(うし、ベココ)」などの題で岩手県遠野地方の例が紹介されています。 昔、遠野の小友村にひとりの長者がいて、そこで変わり者の下男が働いていました。彼は暇さえあ ...
蜘蛛息子
■蜘蛛息子[くもむすこ]▽解説 岩手県遠野に伝わる話です。 ある所に貧乏な父と娘が暮らしていました。 母とは既に死別しており、父は畑仕事、娘は毎日山で柴などを採って生活していました。 春、十三歳になった娘が山で青物を採っていると、そこに美しい若者がやって ...
教え舌
■教え舌[おし‐じた]▽解説 『撰集抄』には「死人頭誦法華」と題して、以下のような話が語り手の聞いたこととして記されています。 陸奥国平泉郡に坂芝山という山がありました。 この山の川端に高さ一丈余の石塔が建っており、それには次のようないわれがあるとされて ...
雌鶏婆
■雌鶏婆[めんどりばば]▽解説 岩手県遠野に伝わる妖怪です。 ある所に夫婦が暮らしていました。 いくら働いても暮らしは一向に良くならず、世を儚んだ夫は、あるとき「いっそのこと狼にでも食われて死んでしまった方がいい」と山奥に赴き、狼の巣である岩穴の前に身を ...
雌鶏の経立
■雌鶏の経立[めんどり‐ふったち]▽解説 岩手県などでは動物が老いると霊力を身につけた「経立(ふったち)」になるといわれ、下閉伊郡安家村には雌鶏の経立が人に祟った話が伝わっています。 相当な年を経た雌鶏を飼っていたある家では、いくら子供が生まれても育たず命 ...
鴨娘
■鴨娘[かもむすめ]▽解説 岩手県遠野市青笹町には、このような昔話が伝わっています。 昔、ある所に善良で子供のいない猟師の爺さまが暮らしていました。 ある朝、爺さまは湖の傍で綺麗な鴨を見かけました。撃ち取って売ってやろうと鉄砲を向けたところ、鴨はお姫様の ...