化連

■化連[けれん]

▽解説

 暁鐘成作『無飽三財図会』にあるものです。


 扇で顔を隠してうずくまる人物が描かれ、「麒麟 俗ニ化連 一名ヅボラトモ云」という名とともに以下のような解説が付されています。
 
 化連は虚寶国(ちゃらほうこく)の寸簡浜(すかんぴん)に生じる獣です。
 その声は面白おかしく、あちこちに向かってちゃらちゃらと吠えているために「化連方々(けれんほうぼう)」といわれるほか、「化連も酔いぬれば泥に躍る」という諺もあります。
 また、化連は禿げ頭の聖代(優れた天子の治める世)に現れるものではないかと考えられています。

 
 これはごまかし、はったりを意味する「けれん(外連)」と聖獣の「麒麟」をかけた洒落で、産地の虚寶国も「ちゃらっぽこ(嘘。または嘘を言う人のこと)」から来ています。
 別名「ヅボラ」はそのまま「ずぼら」でだらしない性質のことを指しています。
 このほか、寸簡浜すなわち「すかんぴん(素寒貧)」は非常に貧しく所持金もないこと、「外連方々」は「麒麟鳳凰」、「化連も酔いぬれば泥に躍る」は「麒麟も老いぬれば駑馬に劣る」をもじった言い回しです。
 以上の事項から、化連は調子のよい出まかせばかり言うものの、実際には金のない無精者を獣に見立てたものと思われます。



▽註

・『無飽三財図会』…暁鐘成作。弘化三年(1846)刊。本草書の天文や禽獣の項目の体裁で人の性質などを滑稽に記す。書名は『和漢三才図会』をもじったもの。


▽関連

麒麟


 
 ウソがばれちゃったのか平身低頭して顔向けもできない様子です。