■筬火[おさび]
▽解説 宮崎県延岡地方に伝わる怪火の一種で、三角池という池に出るといわれています。
これは雨の降る晩に二つ出るもので、明治の半ばまでは折々目撃者がいたといいます。
昔、二人の女が筬(おさ。機織の際に折り目を整えるために使う櫛状の器具)の貸借をめぐって、返せ、返したの争いとなって池に落ちて死んだといい、そのため二つの火が現れて喧嘩をするようになったのだと考えられていました。
筬火の名は『延岡雑談』を出典として柳田國男「妖怪名彙」(『妖怪談義』所収)にて紹介されています。
ここでは類似する妖怪として名古屋の「勘太郎火」の名も挙げられています。
コメント
コメント一覧 (4)
げに度しがたきは女の癇気…という感じですが
今の世の中しょうもない理由で歯止めが利かないキレかたするモンスタークレーマーが腐るほどいますから、この怪談程度の動機なら
日本中火の海になってそうです
勘太郎はいったい何を怒って火になったのか
気になりますね
全国各地の職場内でもパートさんの火とかがめらめら燃えてそう
仲悪い相手と一緒に火になって延々出没して語り草にされるというのもなかなかの苦痛でしょう……筬の件の怒りは収めておくのが吉
これくらいの諍いなら自分も当事者になってしまいそうでコワイです
ゆめゆめ池に落ちぬようにせねば…