■カスンガ
▽解説
イエズス会の宣教師として1563年から日本でのキリスト教布教活動を開始したルイス・フロイスが1565年にインド・ゴアの同僚に宛てた書簡には、次のように記されています。
「奈良は、カスンガという名の悪魔の一つの社に従属しているところです」
フロイス曰く、奈良には悪魔の偶像たる多数の鹿がいて、それはまるでスペインの犬のように通りを走り回っているといいます。人々は誰も鹿には手を触れず、もし叩いたりしようものなら捕えられて重い罰を受けることになり、殺せば死罪となって全財産を没収されるといいます。
このように住民たちは悪魔の支配下に生きていて、悪魔は自分や動物たちを住民が崇拝するように影響を及ぼしている、とされています。
これはもちろん奈良の春日大社と神使である鹿についてふれた記述ですが、キリスト教の布教を志すフロイスは異教の信仰をこのようなおどろおどろしい悪魔崇拝のように捉え、外へ伝えていたようです。
一方、同じ1565年に奈良を訪れていたアルメイダは「カクンガ」へ行った際の見聞として「この神は、この世における名誉、富、長寿、および彼らがこの世で切に望んでいる他のすべてのことを約束しています。またこの神が彼らにしている約束のために、この神は非常に崇拝されています」と、特に悪魔とは扱わず記述しています。
ガスパル・ヴィレラは春日社の信仰の様子を目のあたりにして、フェニキア人たちが信仰したバアルとその神官、神殿を思い起こしたと書いています。また、ヴィレラは宮島の噂も耳にしており、かの悪魔は鹿の姿をして自分を崇めさせると語っています。
このように宣教師たちの報告の中には奈良や宮島の神や鹿に対する信仰についてふれた箇所が散見され、かれらが日本の信仰に向けた視線や当時の様子などをうかがい知ることができます。
異教の神が悪魔あつかいされるというのはよく聞くはなしですね。日本に対してもそういうのがやはりあったんですね~。後からこうして面白がる分にはいいんですけどもね……。
カスンガなどと書くといかにもコレジャナイ感がありますが当時はそんな感じの発音だったのかもしれません。
コメント
コメント一覧 (2)
そこでは神獣とあがめられる鹿が街中に放し飼いにされ
誰ひとりそれを傷つけることは許されない。もし鹿を死なせれば
神への冒涜とみなされ、速やかに死罪となるのだ。コワイ!
…忍殺風ナレーションがはまりすぎる…
フロイスは一体どういう視点で日本を見ていたんだ
イラストはサークルの内と外で絵の雰囲気ががらりと変わっていて
「色眼鏡で見た日本」という元ネタを思わせる感じですね
色眼鏡の意図に気づいてもらえてありがたいです
春日明神をそのまま悪魔化するだけっていうのもあんまりな気がしたのでエクスキューズとしてやってみました…