■豆獣[まめじゅう]
▽解説
『水木しげる幻獣事典』(1985年刊)など、水木しげるの著作において紹介されているものです。
「豆獣」なるものは目鼻のない小さな軟体生物のような姿で描かれています。
解説によれば、これは人の心の中に棲みついていて、修行や特別な勉強を経ると心から出てきて育ち、言うことをきくようになるといいます。
陰陽道における式神、または役小角が使役した前鬼・後鬼のようなある種の使い魔に相当し、時には他者をも操る存在であり、これを仮に「豆獣」と名付けたのだといいます。
この絵は1971年に雑誌『希望の友』の企画「ボクのココロの怪獣チャン」のために描き下ろされたものらしく、元は各作家が思い描いたオリジナルの「怪獣」の一体として発表されていました。
記事における「怪獣」は、水木しげるが倉の中で遭遇した奇妙な知恵を持つ太古の存在で、彼に「いつまでも生きられる方法」「寝ていて金のもうかる方法」「美人にすかれる方法」などを伝授しました。が、実はすべて夢の中の出来事だったと語られています。
これが後に妖怪画の一枚として再利用され、初出時の文章から使い魔などの要素が付されていったものと思われます。
11月30日なので例のごとく水木ものであります。4年め。
なんか、人がそれぞれ持ってるインスピレーションとかイマジネーションとか、そういうものを連想させる設定だなぁと思うのでした。見た目はどことなく……ですが。
コメント
コメント一覧 (2)
言葉を失くしてしまう……
出現に至るまでの経緯はほとんど仙道に伝わる「陽神の術」と同じように思えます
元ネタだったりするんでしょうか
…式神や前鬼後鬼を引き合いに出すくらいですからその辺りも思い浮かべて書かれたテキストである可能性はなきにしもあらず、と思えます
水木作品って無情な夢オチが多いのでこれも元はそうだったのかー!と。まぁ結構なリアリストですよね、水木せんせい。