切子灯籠の化物

■切子灯籠の化物[きりこどうろう‐ばけもの]

▽解説

 切子灯籠(切籠灯籠、盆灯籠)は盂蘭盆会の際に寺院や家の軒に吊り下げる灯籠です。火を灯す部分は角を落とした切子形で、四束の細長い白紙を付けて垂らしたものが一般的です。

 化物の世界の年中行事を描いた文化五年(1808)、十返舎一九作『化物一年草』における盆の場面には、この切子灯籠の化物が描かれています。

 化物の世界でも七月の盆には先祖の霊を迎えることになっていますが、こちらでは本当に先祖が幽霊として化けて出てきては飲み食いして帰っていくために凄まじい物入りで、まだ現世に生きている化物たちにとっては迷惑な行事でもあるようです。
 この時期、切子灯籠の化物は給仕役を務め、帰ってきた精霊様方にご馳走を運ぶのに大忙し。家の化物と一緒になって、蛇や蛙、なめくじを先祖に振る舞っている様子が描かれています。
 幽霊といえども化物にとっては日頃から心安い存在であり、親類一同集まれば仲睦まじく語らうものですが、先妻や姑婆様の幽霊なども現れるため、ときどき今の女房との喧嘩が起きることもあるようです。




 切子灯籠ちゃんのつぶらな瞳がかわいいです。