■木瓜の鼬鼡[きうり‐いたち]
▽解説
『諺臍の宿替』に描かれているものです。
この鼬は『三才図会』『本草綱目』『和名抄』といった書物にはみられず、古今を通じて珍しい鼬であるといいます。
多くは六月の祇園会の前後に出るもので、これを獲って川に流せば河童に引き込まれない呪いになります。
また珍物ながら価格は安く、糠漬けにするとよいといいます。そして「いたちやきつちきちとぬかみその中へぐすぐす」などと昔から唄われており、辛漬にするものだとも知られています。
夏の夕暮時、きゅうりの売れ残りなどを見てみれば、えてしてこの「いたち」が多いといわれています。
京都などでは大きくなり熟れきった黄色い胡瓜のことを「いたちきゅうり」と呼び、通常のきゅうり同様に漬物などにして食していました。
このいたちきゅうりを胡瓜ではなく鼬の一種かのようにおどけて説明してみせたのがこの「木瓜の鼬鼡」です。
▽註
・『諺臍の宿替』…幕末から明治頃に上方から流布した戯文集。書名や体裁を変えつつ繰り返し出版された。一荷堂半水作、歌川芳梅画。諺や慣用句、人の性質を表す言葉などを文字のままとらえ、滑稽な絵と文で表現している。
コメント
コメント一覧 (1)
キュウリは平安時代くらいにはもう食べられていた野菜だったらしいですね
当時は熟して黄色くなるまで待って食べるのが普通ゆえ「黄瓜」という名前だったとか
でも水分補給の手段として用いられる反面、単純な食料としては
さして美味しい物とは扱われなかったとのことです
イラストはバックにキュウリを失敬しにきた河童の脚がにゅっと描かれてるのが
面白いですね。彼らの目には木瓜の鼬鼠はどういう存在に映っているのか…?