テケテケ

■テケテケ

▽解説

 主に下半身が欠損した人間の姿をした亡霊、妖怪の類として語られるもので、噂は1980年代から90年代頃に広く流布したようです。
 手や肘を盛んに動かして接近してくる際の擬音が「テケテケ……」であることからこの名で呼ばれるものと一般的には理解されています。シャカシャカ、パタパタなど類似した呼称が用いられていることもあります。
 朝里樹著『日本現代怪異事典』では、テケテケを「代表的な上半身の怪」と説明しています。

 学校などに出没する怪物で、腕や肘を足の代わりにして、あるいは空中を飛行して凄まじい速さで目撃者を追いかけるなどといわれます。性別は男女どちらの例もあり、鎌などの凶器を携えているとされることもよくあります。
 「地獄に落ちろ」「地獄に帰れ」と唱えると退散する、急に曲がることができないため方向転換して逃げればよい、といった対処法が知られています。

 もうひとつ「テケテケ」の話として広く認知されているのが、冬の北海道で鉄道事故に遭い上半身と下半身を轢断されてしまった女子高生の霊が現れるというものです。これもやはり下半身がない女の霊とされ、たとえ逃げても腕を使って高速で追いかけてくるといいます。現れるのは事故現場の周辺をはじめとして、夢の中、事故の話を聞いた人のもとなど様々に伝えられています。
 これは異なる都市伝説として広まっていた話がテケテケの由来として流用されたものであると考えられます。
 列車事故で女子高生の下半身が切断された際、低温の環境下で傷口が瞬時に凍りつき、事故後しばらく生存して腕だけで這い回り助けを求めたなどとするもので、少女の霊が現れる後日談もあり、これがテケテケに結びついたようです。 
 
 


 現代怪異フェア、第2回でございます。描き慣れてないものをいつもの世界観で、というのを目指しつつ。
 有名なものほどバリエーションが多く、様々なタイプの怪を包含しているというのは古いのも新しめのも変わらないようですね。