猫鬼

■猫鬼[ねこおに]

▽解説

 湯本豪一氏が蒐集した物品を中心に妖怪関連の資料を紹介する『日本の幻獣図譜』(2016年刊)によれば、福島県いわき市好間町の一部地域には、古くから鶏鬼、猫鬼、狐鬼、熊鬼という四種類の有角の幻獣の言い伝えがあったといいます。
 同書には湯本氏が入手したこれら鬼たちの多量の頭骨の写真が掲載されています。

 昭和期には見世物興行の主催などをしていたらしい「猫鬼研究会」という団体があり、現存する資料はかれらがかつて所有していたものであるとみられます。
 
 猫鬼には天鬼、空鬼、幽鬼、野鬼という四つの階級があり、最下級の野鬼は角が一本生えている他は普通の猫と変わらず、特別な能力は持っていないとされます。また、その頭領は代々「アメノカツブシノミコト」を襲名します。
 二本角の幽鬼は人語を解し、化けることも可能で、頭領は「アメノマタタビノミコト」を襲名します。
 三本角の空鬼はあらゆる動植物語を解し、化けるのみならず地水火風を自在に操るといいます。頭領は「アメノシャミネン(原文ママ。シャミセンの誤記か)ノミコト」を襲名します。
 最上級の「天鬼」は神にも等しい存在であり、通常は姿を現さず、人にも危害を加えないといいます。天鬼は頭に角がなく、普通の猫と区別がつかないばかりか、四種の猫鬼の中で唯一頭骨が発見されていません。天鬼の頭領は代々「ネコテラスオオミカミ」を襲名します。
 野鬼から空鬼までの階級は生まれ持ったもので上下の変化はありませんが、どの階級からも修行を積むことで角が落ちて天鬼に出世することができるとされています。このため、猫鬼たちは天鬼になるため日夜修行に励んでいるのだといいます。

 また、鶏鬼は猫鬼よりも弱く、かれらに狙われる種族だったといいます。
 狐鬼は猫鬼より強く、熊鬼はこれらのどの種族よりも強いものとされていますが、対立するものではなかったといわれています。

 この他、伝説をもとにして昭和期に製作したものとされる、「猫鬼の詫び証文」なる資料も残されています。これは文章らしき曲線ならびに記号の連なり、地図らしきもので構成されていますが、現状解読不能です。


 猫鬼の伝説として紹介されている一連の情報は、一見して既知の神話や伝承を下敷きにして生み出されたものであると推察できます。
 各階級の猫鬼の頭領が襲名する名は日本神話に登場する神々の名をもじったもので、四つの階級があるとする説も『善庵随筆』などにみえる狐の位階(天狐、空狐、気狐、野狐)の模倣と考えられます。
 また詫び証文も寺院などに所蔵される「天狗の詫び証文」のような遺物のパロディではないかと思われます。

 『日本の幻獣図譜』で示された情報だけでは、猫鬼たちの頭骨がいつ、誰によって、どのような意図で創造されたものであるか、そして本当に古くからこのような伝説が好間町にあったか否かを必ずしも断言できず、今後の調査の報告が待たれます。




 あまりにもうさんくs……謎に満ちた衝撃的な妖怪伝説であります。 こんな世界があったっていい……のか? いろいろとやばい存在です。
 ただまぁ最高位の天鬼が普通の猫と同じ姿をしているっていう設定はちょっとロマンを感じるですね~。あなたの家にいるその猫も実は天鬼かもしれませんよ?みたいな話にしたかったんだろうなぁ。