唐人町の犬の子

■嘴犬[くちばしいぬ]

▽解説

 『怪奇談絵詞』などに描かれているものです。
 
 寛保年間(1741~1744)、福岡唐人町にてある犬が嘴太烏(ハシブトガラス)のような頭部をもった子を産んだといいます。
 この子犬は飯や魚を餌としたものの、生まれて早々に死んでしまったといいます。


 『怪奇談絵詞』では固有の名は示されておらず、同絵巻を収録した書籍『妖怪百物語絵巻』では「犬が産んだ妖怪」という名がつけられています。
 絵巻を所蔵する福岡市博物館のウェブサイトで公開されている過去の展覧会紹介ページ(参照)などでは、この犬の子に「唐人町のくちばし犬」という呼び名が与えられている例を確認できます。
  
 

▽註

・『怪奇談絵詞』…幕末から明治初期の作と推定される絵巻。33の怪奇譚が収められている。九州の話や諸外国を諷刺した妖怪図が多い。
・『妖怪百物語絵巻』…湯本豪一編著。2003年刊。それまで紹介される機会が稀であった『怪奇談絵詞』『土佐お化け草紙』『ばけもの絵巻』『蕪村妖怪絵巻』という妖怪絵巻4種の全体を収録。


 
 『絵詞』だとこのように全身まっ黒なんですが、別の絵では首から下は斑犬だったりして、そちらも可愛い。
 あと赤い首輪がついてるの、この犬の子が忌み嫌われたんじゃなくて愛されて生涯を終えた証だったりしてほしいなぁ…と思います。