■亡魂[ぼうこん]
▽解説
「亡魂」とは読んで字のごとく亡者の魂、特に成仏できず現世をさまよう幽霊、亡霊の類を指す言葉です。
北斎季親による化物尽くし絵巻には「亡魂」と名付けられた青白い肌に長髪を垂らした人型の怪が描かれています。
これは佐脇嵩之『百怪図巻』など、同系統の他作品において「幽霊」として描かれているものと同じ絵柄です。
これらの幽霊の図は白帷子を纏ったものと上半身裸で描かれたものがあり、北斎季親の「亡魂」は後者の表現となっています。
▽註
・『化物尽くし絵巻』…北斎季親による妖怪絵巻。22種の妖怪が描かれている。国際日本文化研究センター蔵。近年、妖怪関連の書籍等に参考図版として頻繁に掲載されている。
・『百怪図巻』…佐脇嵩之の妖怪絵巻。元文2年(1737)制作。30種の妖怪が描かれている。「妖怪図巻」とも。
▽関連
・幽霊
今年もいわゆる増霊期間に突入しました。トップバッターはいかにも幽霊らしい陰気な顔つきと重そうな髪が不気味な「亡魂」さんです。名前がありふれすぎててよく忘れちゃう。
コメント
コメント一覧 (2)
…でも意味はだいたい「死んだ人の魂」で大した違いはないはずのに後世で
「幽霊は〇○、亡霊は××、亡魂は◇◆、だから全部違う!」
ともっともらしいでたらめな背景が後付されて本気にしたこっちが
要らん恥をかいたりするわけですよ……でもそのでたらめもまた独立した「怪」となるわけで…
一筋縄ではいかないものですね、妖怪というのは
デザインや色に差異が!っていうのもだいたい絵師の技量や環境によるところが大きいだろうし
でも今の世に敢えてそういうやつらを切り分けて別項目に仕立て上げるのが愉しいんですよね…! 妖怪ってきっとこうやって育てていくんですよ!グルグル