口裂け女

■口裂け女[くちさ‐おんな]

▽解説

 1979年(昭和54年)頃、主に小学生の間で盛んに噂された怪女で、登場以来、各種の妖怪を扱った書籍等でも「現代の妖怪」の代表格として頻繁に取り上げられてきました。
 「口裂け女」が現れるという噂は現実味を帯びて日本全国に広がり、大きな混乱を呼んで集団下校の実施などにつながったこともあったといわれています。


 下校途中の子供の前に大きなマスクで顔の下半分を覆い隠した女が現れ、「私、きれい?」と問いかけます。
 子供が「きれい」と答えると、女は「これでも……?」と問いを重ね、マスクを外して素顔をさらします。
 露わになったのは、耳元まで裂けた異様に大きな口でした。

 噂の大筋は上記の内容で共通しているものの、その細部は各地に多種多様な例がみられます。
 たとえば、口裂け女からの問いへの答えに窮した子、「ブス」など容姿を悪く言った子などは刃物で彼女同様に口を切り裂かれるとか殺されるともいわれ、用いる刃物も鎌のほか鋏や包丁などさまざまなパターンがありました。
 また、口裂け女から逃れるためには大好物のべっこう飴を与える、ポマードを嫌っているため「ポマード」と三回唱えるといった方法が広く知られていました。これら好物や嫌いなものの種類もやはり多様なバリエーションがあり、べっこう飴が嫌いな食べ物として挙げられていることもあります。
 問いかけに対して「ふつう」などと否定とも肯定ともつかない答えを返すことで口裂け女を困らせ、その隙に逃げるという対策が伝わっている場合もあります。

 噂は79年夏頃には沈静化したといいますが、その後も現代妖怪、学校の怪談、あるいは都市伝説の類として忘れ去られることはなく、新たな情報も付加されつつ高い知名度を保ち続けています。

 口が裂けた理由についても様々にいわれ、整形手術の失敗、熱いコーヒーで負った火傷が元で裂けた、もとは美女だったが姉妹によって裂かれた、自ら誤って裂いた、などと語られ、それゆえ狂気に取り憑かれた存在になったと説いているようです。いずれも元は人間で、口裂け女の裂けた口とは即ち裂傷であることを示しています。
 このほか、彼女がポマードの匂いを嫌うのは手術の執刀医がこれを多量につけていたからだという理由付けがなされていることもあります。細かな来歴、性格の追加情報もまた枚挙に暇がありません。
 

 江戸時代の怪談などにみえる怪女の描写を取り上げて、近世以前の「口裂け女」のように紹介する場合がありますが、元来「口が耳まで裂けている」というのが獣類や怪物の容貌に対する慣用的な表現であるため、それらと「口裂け女」という固有名をもつ妖怪に直接のつながりがあるとはいい難いと思われます。




 ついにウチにも口裂け女さんにお越しいただきました~。たまにはこういう方面もいいじゃないですか。現代妖怪の古典ですね。古い(とされてる)妖怪をメインにした本でもよく言及されるし、水木御大も描いてたりするし、なんというか別格の感があります。