もみ

■もみ

▽解説

 秋田藩士の人見蕉雨による随筆『黒甜瑣語』にあるものです。

 著者の友人が語ったところによれば、阿仁山中には「モミ」と呼ばれる守宮(ヤモリ)のようなものがいるといいます。
 これは人の腎水(精液)を好む虫で、阿仁山の草深い所には必ずいるといいます。
 山中でうたた寝などすれば男女かかわらず陰部にモミが取りつきます。モミの四足で性器を弄られると言いようもない心地よさを覚え、遂には淫水を漏らします。モミはすかさずこれを吸い取り、人はそのために虚労(過度の性交などによる疲労で心身が衰弱した状態)となってしまうと伝えられています。
 このような事態を防ぐため、人々は褌、股引を固く締めて山へ入ったといいます。
 
 木曽山中にも同様の虫がおり、人見蕉雨はこれらを『本草綱目』にみえる蛤蚧(ごうかい。オオヤモリ。滋養強壮の漢方薬に用いられる)の類だろうかと記しています。

 また別の友人によれば、あるとき薬売りが山で数十匹のモミを獲って帰り、春意香(催淫効果のある香)を調合したことがあるといいます。
 ある者が戯れに境町の芝居の切落しでこれを焚いてみたところ、そばにいた女たちは皆その匂いに心をときめかせ、顔色までもが変わっていったといいます。これは南蛮人の交易品「ダレン香」と同じほどの効き目であったとされています。
 


▽註

・『黒甜瑣語』…秋田藩士・人見蕉雨の随筆。寛政~享和の成立。4巻20編。多様な話題を収め、奇談の類も豊富。




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