錦鶏

■錦鶏[きんけい]

▽解説

 錦鶏(キンケイ)は中国南西部からチベット、ミャンマーにかけて生息するキジ科の鳥の一種で、雄は赤と黄を基調とした派手な羽毛に身を包んでいます。
 『山海経』には赤鷩(せきへい)の名で記され、小華山に多く生息し、この鳥によって火を防ぐことができるとあります。

 『和漢三才図会』は『本草綱目』を引いて錦鶏を紹介しています。
 曰く、錦鶏は鷩雉(へっち)というよく似た鳥よりも小さく、背には赤色が浮き立ち、胸の前は五色に光り輝いて孔雀のようで、文様は非常に燦爛として錦のようであり、そのため錦鶏と呼ぶのだといいます。嘴や鋭い蹴爪を使って闘うので、家鶏とこれを闘わせて獲るとよく、錦鶏を飼育していると火災を払うことができるといいます。
 あるいは錦鶏は鷩雉の雄のことであるともいいます。己の羽毛を愛し、自ら水に姿を映して舞い、目くるめいて死んでしまうことも多く、鏡に映してもやはり己に魅了されて死ぬことがあると伝えられています。

 西洋においては想像上の鳥と見なされた時期もあったようですが、日本では古くから愛玩用に齎されていました。『和漢三才図会』著者の寺島良安はまだ錦鶏を見たことがないとしつつも、異国から来たもので籠に入れて飼うものだと記しています。また、錦鶏を題材とした絵画や装飾の類は日本でも散見されます。


 

▽註

・『山海経』…中国古代の地理書。最古の部分は紀元前3~5世紀に成立。各地の山川に産する奇怪な動植物や鬼神に関する記述が多数ある。
・『和漢三才図会』』…江戸時代中期の絵入り百科全書。寺島良安の作。全105巻。