馬鶏

■馬鶏[ばけい]

▽解説

 大陸伝来の地誌や類書などを元にして鳥獣類を描いた『怪奇鳥獣図巻』にある鳥の一種です。

 馬鶏は鮮やかな羽毛に彩られた鶏のような姿をしており、「かこく山 鳥あり はけい(馬鶏)となづく」と詞書が添えられています。
 
 『怪奇鳥獣図巻―大陸からやって来た異形の鬼神たち』(2001年刊)のなかで、伊藤清司氏は「かこく山も馬鶏もともに現行本『山海経』にないばかりか、馬鶏という鳥も詳らかでない」と解説しています。
 しかし、明代の類書などには嘉谷山の鳥として馬鶏を載せるものがあり、『怪奇鳥獣図巻』の作者はこれらの情報をもとにして鳥獣を描いたと考えられます。
 また、現代の中国語における馬鶏はキジ科の鳥類であるミミキジを指すようです。

▽註

・『怪奇鳥獣図巻』…作者不詳の絵巻。江戸時代頃の制作。『山海経』などにみられる奇怪な神や鳥獣類を76種描く。成城大学図書館蔵。
・『山海経』…中国古代の地理書。最古の部分は紀元前3~5世紀に成立。各地の山川に産する奇怪な動植物や鬼神に関する記述が多数ある。




  前回の駝鶏に続いて、今回も頼りになる方々のお知恵を拝借したのでちょこっと追記。氷泉さん、テクノ・パンダさん、いつもありがとうございます!
 https://twitter.com/hyousen/status/825493675157254144
 https://twitter.com/TechnoPanda4649/status/825494882361827330