■波山[ばさん]
▽解説
『絵本百物語』にある妖怪です。
大きな鶏冠を有する怪鳥が竹藪の中で火を吹き出している様子が描かれ、「深藪のうちに生じ常に口より火を吐て夜々飛行すとぞ」と記されています。
著者の桃山人によれば、波山は世間では「婆娑婆娑(ばさばさ)」と呼ばれ、伊予の山中では「ばさばさの化け」の名を子供を脅かすのに用いたといいます。
夜更け、山家の門口をばさばさと叩く者があるので戸を開けてみても、そこには誰の姿もないということが度々あったといいます。波山は深い藪を棲み処として人の目にふれることはなく、常に火を吹くとはいえ狐の息(狐火)と同じ程度のものだといいます。
また、橘氏(未詳)の随筆には「ばさばさは庭鳥(鶏)の大いなるに類せり」との記述があるとされています。
さらに、波山に類するものなのか「犬鳳凰(いぬほうおう)」という名も挙げられていますが、こちらはいまだはっきり分からないと記されています。
▽註
・『絵本百物語』…天保12年(1841)刊の怪談集。桃山人作、竹原春泉斎画。副題『桃山人夜話』。
ヒクイドリがモデルではないかといわれたりするようで、スタイルよくてかっこいいですねー。
本当に伊予に伝わってたのかも定かでないし、なんだか謎めいてる妖怪でもあります。
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