べか太郎

■べか太郎[‐たろう]

▽解説

 化物尽くし絵巻に描かれる妖怪の一種で、尾田郷澄の『百鬼夜行絵巻』にその姿をみることができます。

 下まぶたを指で下げ、舌を出している裸の子供のような妖怪で、「べくわ太郎」という名が記されています。そのため、この図を紹介している書籍では「べか太郎」「べくわ太郎」二通りの表記がみられます。また誤解・誤読から「べくわ坊」「べろり太郎」「ペロリ太郎」などとされていることもあります。

 この妖怪がとる仕草は、相手をからかったりする際に行う「あかんべえ」で、これには「べかこう」「べっかんこ」といった呼び名もあります(この語は「目赤う」の転訛したものといわれています)。
 また、別の絵巻では同じ姿の妖怪が「あかんべい」と名付けられている例が確認されています。
 

▽註

・『百鬼夜行絵巻』…尾田淑太郎(郷澄)による妖怪絵巻。天保3(1832)年制作。熊本県松井文庫所蔵。名称なしのものも含めて58種の妖怪が描かれている。

▽関連

ペロリ太郎




 なんて憎たらしい面構えなんでしょう。