孫悟空

■孫悟空[そんごくう]

▽解説

 中国明代に大成した小説『西遊記』の登場人物です。
 

 元は東勝神州・傲来国(ごうらいこく)花果山頂にあった仙石から出た卵から誕生した猿で、仲間の猿からは豪勇を讃えられ「美猴王」と崇められていました。
 やがて不死の仙になることを志したこの猿は、須菩提祖師に弟子入りして「孫悟空」の法名を授けられます。そして修行を重ねるうちに七十二の変化の術や、雲に乗って飛行する觔斗雲の術を身につけました。
 ところが悟空は増長が過ぎて破門され、故郷に戻ると混世魔王を倒して再び猿の王として君臨し、伸縮自在の如意棒をはじめとした龍宮の武具でその身を固めました。
 さらには牛魔王ら六大魔王と義兄弟の関係になり、閻魔帳にある己の寿命を塗りつぶしたうえ、自ら「斉天大聖(天にひとしい大聖人)」を名乗るなど、傲慢の限りを尽くして天帝の怒りを買うようにもなっていました。
 討伐の軍勢も歯が立たず、懐柔策として斉天大聖は天界に召し抱えられ、名ばかりの閑職につくこととなりました。
 暇を持て余した悟空は、茶会の場に現れて神仙たちを術で眠らせて仙界の桃を食いつくし、太上老君が作った不老不死の金丹をも貪り食って不死身の肉体を手に入れました。
 これに激怒した天帝は、大軍勢をもって悟空を滅ぼそうとします。そして、悟空はとうとう釈迦如来の法力によって五行山の岩に封印され、身動きの取れないまま五百年を過ごすこととなりました。


 やがて悟空は観世音菩薩から三蔵法師の弟子として功徳を積むことを許され、猪八戒、沙悟浄と共に天竺への取経の旅に同行することになります。
 殺生を戒めるため頭に緊箍児の金輪をはめられるも、持ち前の勇猛さと神通力を存分に発揮して、悟空は旅の途中で数多くの妖怪を打ち倒し、三蔵法師を守り、世に善を広めていきました。
 取経の旅を終えると、その功績が認められて「闘戦勝仏」という仏になりました。


 『西遊記』が伝わった江戸時代以降、日本でも孫悟空は広く親しまれ、現代にいたるまで絵画や演劇、その他種々の創作のモチーフとして頻繁に用いられています。


▽関連

猪八戒