もぬけ

■もぬけ

▽解説

 天狗(山人)の里で生活していたという少年・寅吉の見聞をまとめた『仙境異聞』に記されているものです。

 寅吉によれば、猿は年を経て凄まじく大きくなると、二足で立って歩き回り、長い頭髪を生じ、眼は殊の外に輝き、自在の術を会得するといいます。
 このような猿が数千年の長きにわたって生き長らえると、自ら炎を発してその身を焼き尽くしてしまうことがあるといいます。
 こうして燃えた体内からは、毛がなく、人と変わりない形をした新たな体が現れます。これは折々猿の身に戻り、猿の群れと交わることもあります。
 このようなものは「もぬけ」と呼ばれており、寅吉は師の杉山僧正から「斯様なものの変化も見ておけ」と、焼けた猿から人の形をしたものが生まれる瞬間を見せられたことがあると語っています。


▽註

・『仙境異聞』…平田篤胤著。文政5(1822)年成立。幼時に山人に連れ去られたという少年寅吉との面談の記録等を収録。



 不死鳥のようなお猿さんですな。