三目猴猿

■三目猴猿[みつめこうえん]

▽解説

 薩摩に伝わる大石兵六の物語を描いた『大石兵六物語絵巻』に登場する妖怪のひとつです。

 薩摩・吉野の悪狐退治に赴いた大石兵六は、既に宇蛇や簑姥上といった化物に驚かされ、早くも消魂の気配。
 振り返りもせず、ひたすら突き進んでいたところ、今度は松の梢から百千の棕櫚たわしを束ねたような化物が、雲か霧のごとく揺らめき現れました。
 化物は三尺ばかりの目が三つあり、口は大きく牙は長いという恐ろしげな容貌で、兵六を見るや「これ兵六どの、拙者は三つ目の猴猿と申して、手の長い(盗み癖がある)猿猴とはちと違い、ちっとも大事ない。ここへ来て煙草でも呑んで行きやれ」と誘います。
 兵六が刀で斬りつけると、三目猴猿は水の泡のように消え失せ、また姿を現します。再び斬り払えばまた消えては現れを繰り返し、「そのように悪いことをすると、頭からひと噛みに、ばりばり噛むぞ」と飛びかかってきます。
 兵六はたまらず刀を投げ捨て、命からがら逃げていきました。

▽註

・『大石兵六物語絵巻』…薩摩の大石兵六という若侍による狐退治の顛末を描いた絵巻で、狐が化けた様々な妖怪が登場する。複数の作が確認されている。


▽関連

三つ眼の旧猿坊
猿猴