大かむろ

■大かむろ[おお‐]

▽解説

 『日本妖怪図鑑』など、主に佐藤有文の著作にある妖怪です。
 鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に描かれている「大禿」を元にしたものですが、脚色が加えられてその性質は大きく変化しています。

 『日本妖怪図鑑』によれば、大かむろは地獄の国からやってきた恐ろしい妖怪で、顔だけは美しい女であるものの、体は骨がむき出し、手には鷹のように鋭い爪があるといいます。
 人が眠ると、大かむろは布団の前にじっと座って「地獄へつれて行くぞ」と囁きます。ねぼけてうっかり返事をしようものなら、鋭い爪で八つ裂きにされ、脳みそを食べられてしまうといいます。
 挿絵は石燕の大禿の図に倣った構図ですが、胸元や手が説明文の通りに改変されています。

 これ以後に刊行された「妖怪図鑑」系の書籍でも、おおむね同じ内容で紹介されています。また、墓場をうろついているという性質も付加され、『お化けの図鑑』(昭和53年)などの挿絵では人の脳を食べている場面が描かれました。
 
 佐藤の著書以外では『世界の妖怪全百科』(昭和56年)や『日本の妖怪大百科』(昭和60年)に、この姿の大かむろの紹介があります。
 『世界の妖怪全百科』では、「おおかむろ」を地獄に出入りできるおかっぱ頭のかわいい少女の妖怪としたうえで、頭の大きい男のおおかむろも出没したと説明しています。


▽註

・『今昔画図続百鬼』…『画図百鬼夜行』に続く鳥山石燕の妖怪画集。安永8年(1779)刊行。これに載る「大禿」は、男色を暗喩した石燕の創作妖怪とする説がある。
・『日本妖怪図鑑』…『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』とも。佐藤有文著。昭和47年(1972)、立風書房刊の子供向け妖怪本。子供向けの妖怪書籍として長い間人気を保ち、繰り返し重版された。
・『世界の妖怪全百科』…聖咲奇監修。昭和56年刊。小学館のコロタン文庫の一冊で、日本と世界の妖怪約400種を紹介する。
・『日本の妖怪大百科』…昭和60年、勁文社より刊行。日本の妖怪約300種を、「生息数」「気圧数」の数値とともに紹介。説明文・挿絵は佐藤有文や水木しげるの図鑑等の模倣が大半を占める。




 元はでっかい女の子(?)の絵だったのに、どうしてこんなに怖くなっちゃったんでしょう。やっぱり都会と地獄はヒトを変えちゃうんですね~。