わいわい天王

■わいわい天王[‐てんのう]

▽解説

 江戸時代の絵本『化ものがたり』の一場面に描かれている妖怪です。

 荒れた御殿で酒宴を開く「わいわい天王」が「みなみな、こちへこちへ」と呼びかければ、「おっ立て烏帽子の守」や「白木三方左衛門」なる器物の化物たちが集まります。


 本来の「わいわい天王」とは、いわゆる願人坊主の一種で、粗末な羽織袴に大小の刀を差し、猿田彦あるいは天狗の面をつけて、「わいわい天王、囃すがお好き」などと声を上げながら牛頭天王の札を撒き金銭を乞うというものでした。
 『化ものがたり』の「わいわい天王」は、この呼び名から束帯姿の化物を想像したものと思われます。
 

▽註

・『化ものがたり』…絵本。国明作。様々な趣向で化物出現の様子が描かれ、豪傑坂田金時に退治される場面で終わる。正確な刊行年は不明だが天保前期頃ではないかとする説がある。



 宴の参加者がみんな愛嬌ある顔つきをしていて和みます。