なまえ

■尻目[しりめ]

▽解説

 水木しげるの著書などで紹介されている妖怪です。

 尻目は昔、京都の路上に現れたといわれています。
 ある夜に侍が歩いていると、何者かが「ちょっと、ちょっと」と呼び止めました。
 何者かと身構えていると、その男は突然着物を脱いで素っ裸になり、侍に尻を向けてきました。その尻には大きな光る目がついており、さすがの侍もこれには肝を潰して逃げだしてしまいました。
 「尻目」はこのように尻の目を見せつけるだけで、他には何もしないと説明されています。

 この妖怪のモデルとなったのは『蕪村妖怪絵巻』に描かれている妖怪で、人に尻の目玉を見せつけている姿は同じですが、こちらでは名前が「ぬっぽり坊主」となっています。
 書籍によっては「尻目という名前はあとからつけたもの」との記述もあり、ぬっぽり坊主の名を尻目と改めて紹介したのが水木しげるであると分かります。
 また、水木の著書以外では「尻の目」という名で紹介されている場合もあります。

▽註

・『蕪村妖怪絵巻』…与謝蕪村が八種の妖怪を描いた絵巻。宝暦4~7年頃の制作とされる。原図の所在は不明で、昭和3年の復刻版が内容を現在に伝える。

▽関連

ぬっぽり坊主




 出た!
 名前と見た目のインパクトが凄まじいですね。そして変態度は高いながらも下品になりすぎない匙加減からくる愛嬌が素晴らしいです。
 この妖怪と初めて出会ったのは小学生の頃読んだ『妖怪大図鑑Ⅱ』でしたが、あまりに面白かったので載っているページ数まで覚えてしまったものです。