八面の狸

■八面の狸[やつづら‐たぬき]

▽解説

 高知県吾川郡池川町に伝わる妖怪です。

 昔、ハヅマの滝の辺りには八つの頭がある「ヤツヅラのタヌキ」が棲んでいて、井の谷の綺麗な娘さんを毎晩食べに来ていました。
 ある時、この地を訪れた狩人が宿を乞いましたが、家の主人は「タヌキが出るから泊まらせられない」と断りました。そこで狩人は狸を獲ろうと思い立ち、ミツマタを蒸す器具に七匹の犬を隠し、大釜を火にかけさせて煮え湯を用意しました。
 やがて、狩人がトシ(屋根裏)に隠れて待っていると狸が現れました。
 狩人はタヌキがオクジを引いているところを討ち、蒸し器から出された犬たちは子分の狸に食いつきました。狸は倒れた後、狩人によって釜の湯に浸けられました。
 こうして井の谷の人口は減らなくなったのだといいます。