地生羊

■地生羊[ちせいよう]

▽解説

 かつて西洋ではバロメッツ、スキタイの子羊などと呼ばれる、実として羊が生る植物の存在が信じられていました。これは木綿の情報が断片的に伝えられた結果の産物ともいわれています。
 中国ではよく似た性質のものが地生羊の名で伝わっており、『本草綱目』に情報がまとめられています。

 地生羊は西域の産物で、羊の臍を土に植えて水を注いでおくと、雷の音を聞いて羊が生じるといいます。
 新たに生まれた羊は臍で地と繋がっており、成長してから木で音を立てて驚かせると臍が切れて歩けるようになります。その後は草を食べて育つので、秋にはこの羊の肉が食べられるようになります。
 別の説では土中に植えるのは羊の角や脛の骨で、臍を断つ際には馬を走らせて脅かすともいわれています。
 『北戸録』は地生羊を大秦(ローマ帝国)のものとし、人々は垣根を築いてこれを囲い育てていると記しています。
 
 寺島良安は『本草綱目』を参考にして『和漢三才図会』「羊」の項目で、羊の一種として地生羊を挙げています。


▽註

・『本草綱目』…中国明代の李時珍による本草書。全52巻。
・『和漢三才図会』…江戸時代中期の絵入り百科全書。寺島良安の作。全105巻。