出世猫

■出世猫[しゅっせねこ]

▽解説

 『駿国雑志』に、駿河国安倍郡府中城(駿府城)内の怪異として記されているものです。

 城の大手門より内、河内屋敷には一匹の黒猫がいるといわれていました。
 たまたまこれを見かけた者は幸運に恵まれるといい、それが青雲の志ある者、つまり徳を磨き功名を立てて立派な人物になろうとする者であれば必ず立身出世するそうです。
 そのためこの猫は出世猫と呼ばれていました。


▽註

・『駿国雑志』…阿部正信著。天保14(1843)年成立。駿河国の地誌で、巻二十四に「怪異」の記述がある。