最猛勝

■最猛勝[さいもうしょう]

▽解説

 隋の闍那崛多が漢訳した『起世経』第二巻が説く八大地獄に付属する十六小地獄のひとつ、膿血地獄には最猛勝という虫がいるとされます。

 膿血地獄に堕ちるのは、生前、腹黒く愚かな心を抱き、人に汚い物を与え食わせた者です。
 この地獄は大量の膿汁で満たされており、罪人の身は口鼻の高さまで膿の海に沈んでいます。更に最猛勝が罪人の骨肉を食らうため、かれらは絶えずたとえようもない苦しみに襲われています。

 奈良国立博物館蔵の『地獄草紙』にはこの地獄の図が含まれており、膿に浸かった罪人たちの顔面を啄む蜂のような最猛勝の群れが描かれています。


▽註

・『地獄草紙』(奈良博本)…12世紀頃制作の絵巻物。奈良国立博物館蔵。『起世経』が説く小地獄のうち7種を描いているもので、旧蔵者の名から原家本とも呼ばれる。