足高蜘の変化

■足高蜘の変化[あしだかぐも-へんげ]

▽解説

 『曽呂利物語』にある妖怪です。

 ある山里に住む者が、月の出ている夕方に気晴らしにと外へ出かけました。
 すると大きな栗の木の股に、鉄漿をつけ髪を振り乱した60歳ほどの女がいて、男を見つけて気味悪く笑いかけました。
 男は驚いて家に帰り、その後しばらくまどろんでいました。やがて先程の女が夢現のうちに視界をよぎるようになり、安心して眠りに就くこともできなくなりました。すると今度は月明かりに照らされ、栗の樹上にいたときと寸分違わぬ恐ろしい姿が明らかになりました。
 家の中に入って来ようものなら斬り捨ててやろうと刀に手をかけると、女はとうとう明障子を開けて侵入してきました。男はすかさず刀を抜いて、胴を狙って斬りつけました。
 化物は斬られて弱った様子でしたが、男の方も一度刀を振るうのが限界で、そのまま気を失ってしまいました。
 気絶する間際に上げた声に驚き集まった人々に介抱されて、男は目を覚ましました。
 邸内に化物の姿はなく、ただ巨大な蜘蛛の足が切り落とされて転がっているばかりでした。
 このように、蜘蛛でも年を経ると化けるものだといいます。


▽註

・『曽呂利物語』…怪談集。編著者不詳。寛文3(1663)年刊。