縄簾

■縄簾[なわのうれん]

 『新説百物語』にある妖怪です。

 京のある所には、昔から不思議なことがあるといわれていました。
 雨のそぼ降る夜などにそこを通ると、何やら縄のうれん(のれん)のようなものが顔にかかってきます。とかく顔にかかって前に進み難く、無理に向こうへ過ぎ行こうとすれば、またうしろから傘の轆轤を持って引き止め、行かせようとはしませんが、どうにかして振り切ってしまえば後は何の障りもないといいます。
 昔から幾人もがこれに遭遇したと噂されていました。


▽註

・『新説百物語』…高古堂作の怪談集。明和4年(1767)刊、全52話。




 「伝承妖怪お題絵」2013年5月のお題です。
 ただ縄のれんがぶらぶらしてる絵にしようかとも思ったのですが、それじゃ味気ないので「口なわ」にしてみました。ついでに「泥縄」でもあります。