猩々

■猩々[しょうじょう]

▽解説

 元は中国の想像上の動物で、日本でも各地の伝承や昔話、祭事芸能に登場してよく知られています。
 人語を介する赤い毛の獣で、酒を好むとされます。その血もまた鮮やかな赤色とされ、これで染めた毛織物が猩々緋だといいます。

 日本では海と結び付けられることも多く、たとえば岩手県紫波郡では浜辺に酒樽を埋めておいたところ猩々が海からやって来て酒を飲み、酔って酒樽に落ちたという話が伝わっています。
 和歌山県牟婁郡では、田辺の若者が吹く笛の音に聞き惚れた海に棲む猩々の女が、己の髪の毛に針を付けたものを餌なしでも望みの魚が釣れる道具として与えたといいます。
 また西富田村には城主の命令で猩々を捕らえるために酒樽を置いた小屋があり、海から出た猩々は狙い通り酒に酔って捕まったといいます。
 海猩々と呼ばれる妖怪が伝わる地域もあり、山口県周防大島の海猩々は猩々と船幽霊の折衷のような性質を持つものとして語られました。

 鳥取県や兵庫県に伝わる民俗芸能の麒麟獅子舞には、麒麟を先導する役として猩々が登場します。
 また真っ赤な体色から疱瘡とも結び付けられ、猩々の張子人形や面は魔除けに用いられることもありました。