■ししこり
▽解説
國松良康氏蔵、福岡県立美術館寄託の化物尽くし絵巻に描かれている妖怪です。
その姿は他の絵巻などでおとろし、おどろおどろと名付けられているものとほぼ同一です。
詞書には次のような話が記されています。
豊前国奈良林という村で、夜毎に百姓たちの飼う牛馬が一頭残らず消え失せてしまうという事件が起きました。
藤助という者だけは被害を免れていましたが、ある夜、頻りに生臭いにおいがして、遂に藤助の厩にも化物が入りこんで牛を一呑みにしてしまいました。
驚き逃げ出した藤助が庄屋にこのことを語ると、翌日山狩りが行われることになりました。
山狩りの最中、生臭いにおいのする岩穴を見つけたので探ってみると、そこに昨夜の化物が潜んでいました。竹槍で仕留められたこの化物は高さが6尺、口の大きさは1丈1尺もありました。
村の老人はこれがししこりというものだと語ったといいます。
▽註
・『化物尽くし絵巻』(福岡県美本)…國松良康氏蔵、福岡県立美術館寄託。江戸時代の作。妖怪のラインナップは狩野派の化物尽くし絵巻と同じだが、詞書が付されている点が特異。
▽関連
・おとろし
コメント
コメント一覧 (1)
由来もやることも違うのにビジュアルは一緒
元の絵は神社の守護者なのにこっちは里に下りたクマみたいな扱いで
でもこういう臨場感のある化け物退治の話は好きです