龍

■龍[りゅう]

▽解説

 龍、竜(りゅう、りょう、たつ)は中国由来の想像上の動物で、日本の伝承においては専ら河川湖沼の主とされています。
 雨を呼び嵐を起こし、また雲を起こしそれに乗じて天に昇ると考えられ、雨乞いの際に祀られることも度々あります。

 多くの場合は鱗に覆われた長い体を持ち、角や髭を生やした姿で描かれます。
 また、龍は三停九似の相を供えているともいわれ、上停(髪の生え際から眉)、中停(目から鼻先)、下停(人中から顎)がみな貴相を表わし、頭は駱駝、頂は蛇、角は鹿、目は鬼、耳は牛、掌は虎、爪は鷹、腹は蜃、鱗は鯉にそれぞれ似ているとされます。
 顎の下には宝珠を持つといい、『韓非子』には、龍の喉元には一尺ほどの逆向きに生えた鱗(逆鱗)があり、もし誰かがこれに触れば激高し必ず人を殺してしまうとあります。
 爪(指)の本数は様々ですが、中国では五爪の龍は天子の象徴で最高位の存在とされました。


▽註

・『韓非子』…中国戦国時代の法家・韓非による書。説話の教訓を用いて法や刑罰の基礎を解く。


▽関連

百足