夢の精霊 

■夢の精霊[ゆめ-せいれい]

▽解説

 化物尽くしに描かれる妖怪の一種で、 『百怪図巻』や作者不詳の『化物づくし』、川崎市市民ミュージアム蔵『化物絵巻』などの作品でその姿が確認されています。
 杖を手にした老人の姿で、下半身は描かれていません。
 書籍によっては名前を「草の精霊」と紹介している場合もありますが、これは草書体の「夢」と「草」が似ているため発生した差異のようです。

 鳥山石燕は『画図百鬼夜行』に、化物尽くし絵巻に描かれている妖怪、あるいはそれをモデルとして創作した妖怪を描いていますが、この夢の精霊は石燕の妖怪画との対応が明確ではありません。
 この妖怪を「夢の精霊」とするのならば「反枕」が、「草の精霊」とするならば「木魅」が対応しているのではないかとする説もありますが、定かではありません。
 江戸時代制作の『十界双六』や、熊本県松井文庫の『百鬼夜行絵巻』にも、夢の精霊と同じ姿の妖怪が描かれていますが、前者は「貧乏神」、後者は「山親父」と名付けられています。


▽註

・『百怪図巻』…佐脇嵩之の妖怪絵巻。元文2年(1737)制作。30種の妖怪が描かれている。「妖怪図巻」とも。
・『画図百鬼夜行』…鳥山石燕の妖怪画集第一作。安永5年(1776)年刊行。
・『百鬼夜行絵巻』(松井文庫)…尾田淑の妖怪絵巻。天保3年(1832)制作。熊本県松井文庫所蔵。名称不明のものも含めて58種の妖怪が描かれている。

▽関連

山親父



 という訳でなんだかよくわからない妖怪です。同じく化物尽くし絵巻に描かれる「わうわう」にも色んな名前がありますが、夢の精霊は更に適当な感じがします。