ミンツチ 

■ミンツチ

▽解説

 アイヌに伝わる妖怪で、ミンツチカムイ、ミントチ、ニントチなどとも呼ばれます。
 日本語では河童あるいは人魚と訳されます。
 川や池、湖に棲む凶悪な人獣で、多くの事故を起こす存在だといいます。

 その姿については様々な説があります。
 赤い肌をしている、緑色の肌をしている、頭に皿がある、頭頂部は平らである、雌雄の別がある、雌雄の区別ははっきりしない、手か足に蹄がある、鎌のような形の足跡を残すなど、その伝承は一定していません。
 人を水中に引き込んで殺したり、人に憑いたりする一方で、宝物を与えてくれたり危機から救ってくれることもあるといいます。
 頭に皿があるとする場合は、これを打ち破られると死んでしまうともいいます。

 昔、染退川の上流にあるウオルニという所には、十二、三歳ほどの子供のような姿をしたミンツチが棲んでいました。
 年に数人、このミンツチに怪我を負わされる子供がいたため、老人達が酒を差し出して子供の無事を頼むと、ミンツチは山を越えて新冠川のエウコッニセイという場所に移り住んだといいます。
 ウオルニのミンツチは緑色で、頭は平たく有髪、海亀のような肌をしていて、紫肝の人間(節句生まれの人間。各地で河童や鮫に襲われやすいといわれた)をよく狙ったともいいます。
 また、捕まえた人間をくすぐるので、このミンツチに捕らえられた人間は笑いながら水中に沈んでいくといいます。

  ミンツチの中でも頭領はミンツチトノと呼ばれ、性格の善い者はピリカミンツチと呼ばれます。
 自分たちを神の子孫と考えるアイヌ人にとって、「ミンツチ・サニ(ミンツチの子孫)」というのは最悪の嘲罵とされていました。

 
▽関連

河童

 

 初めてアイヌ妖怪を描きました。河童です。