アリエ

■アリエ

▽解説

 明治9年(1876)6月17日の『甲府日々新聞』で報じられた妖怪です。

 あるときから肥後国青鳥郡の海に四本足の奇怪なものが現れ、夜になれば往来へ出て鱗を光らせながら歩くようになりました。
 怪物は通る者を呼び止めますが誰一人として寄りつこうとはせず、やがてその道を通る人は絶えてしまいました。
 この噂を聞いた旧熊本藩の柴田某という者が正体を見届けようと出かけ、遭遇した怪物を咎めると、怪物は「我こそは海中鱗獣の首魁にて名はアリエ」と名乗りました。
 アリエは六ヵ年の豊作とコレラの流行を予言し、難を避けるには自分の姿を描いたものを置いて信心するべしと告げて海に姿を消したといいます。

 同年9月30日の『長野新聞』にもこの記事が引用されていますが、肥後に青鳥や青沼と称する地名はなく、妄説であるとしています。
 

▽関連

アマビエ
尼彦

 

 アマビエ、アマビコとかの予言獣の一種です。「海中鱗獣の首魁」なる大層な身分でありながら陸へ出てウロウロしてるというのはなんとも可愛いです。