しょうけら

■しょうけら

▽解説

 『百怪図巻』などの化物尽くし絵巻には二足歩行の白っぽい犬のような姿で、『画図百鬼夜行』には人家の天窓から屋内を覗き込む鬼のような姿で描かれている妖怪です。

 暦の組み合わせによって六十日に一度巡ってくる庚申の日には、「庚申待」といって、徹夜して眠らずに身を慎むという習わしがあります。
 庚申の夜には眠っている人の体から三尸という虫が抜け出し、天帝に宿主の罪状を告げるといわれており、天帝はその報告を受けて人の寿命を縮めるのだと考えられていました。
 これを防ぐために庚申の日は眠らずに夜を明かし、虫を体外に出さないようにしたのです。
 庚申待の夜に寝てしまうと、しょうけらという鬼が病や災いを齎し寿命を縮められてしまうともいわれていました。江戸時代の頃にはこれを避けるための呪歌があり、「しょうけらはわたとてまたか我宿へねぬぞねたかぞねたかぞねぬば」「しょうきらやねるやさるや我床にねたれどねへてねへてねたれと」と唱えれば無事に過ごせるとされました。
 また、元禄以降に作られたと思われる『庚申伝』という書籍には、しょうきら(しょうけら)は一説には三尸のことだとの記述があります。

 児童書などでは天窓から人家を覗く妖怪などと説明されていることもありますが、これは石燕の絵から状況を想像した記述に過ぎないようです。


▽註

・『百怪図巻』…佐脇嵩之の妖怪絵巻。元文2年(1737)制作。30種の妖怪が描かれている。「妖怪図巻」とも。
・『画図百鬼夜行』…鳥山石燕の妖怪画集第一作。安永5年(1776)刊行。

 

 しょうけらって難しいお化けですね。『百鬼解読』の解説文とか読んでても混乱します。三尸虫についてはまたいつか……。