■無瞳子の虎[ひとみなし‐とら]▽解説 曲亭馬琴作『南総里見八犬伝』第九輯に登場する妖虎です。 その昔、画聖・巨勢金岡は呉国から宇多天皇に贈られた虎を百日にわたって観察し、猛然と怒る虎の図を描き上げました。この作品は迫真の出来栄えでしたが、それゆえに画幅 ...

■俱利伽羅龍王[くりからりゅうおう]▽解説 不動明王の化身とされる龍で、信仰の対象や図画彫刻などの装飾図案として広く知られているものです。 一般的には岩や蓮華の上に直立する宝剣(三鈷柄剣)に火炎をまとって巻きつき(纏繞)、剣を切先から呑もうとする黒龍の姿で表 ...

■春日龍神[かすがりゅうじん]▽解説 謡曲『春日龍神』は、山城国栂尾の華厳僧・明恵(みょうえ)と春日大社の神との対話を描いた物語で、題のとおり龍神も登場します。 栂尾に庵を結ぶ明恵法師は、あるとき入唐渡天(唐土に入り、天竺へ渡る)して仏跡を巡ることを志し、暇 ...

■納曽利[なそり]▽解説 舞楽の「納曽利」は雌雄二頭の龍が楽しげに舞い戯れるさまを表現した曲目で、右方の舞(朝鮮半島由来の舞を源流とするもの。緑を基調とした衣装をまとう)として古くから演じられてきました。 二人で舞う場合は基本的に「納曽利(納蘇利)」または「 ...

■ロハイ▽解説 ポルトガルから伝えられたカルタ(トランプ)をもとに日本で作られた「ウンスンカルタ」には龍のような怪物が描かれた札があり、ロハイまたはロバイと呼ばれていました。 カルタの伝来は16世紀末、ポルトガル交易船の船員たちが遊んでいたものが日本人の間に ...

■龗[おかみ]▽解説 龗(靇、淤加美、於可美など)は水もしくは雨や雪を司る神で、峡谷、岡、泉などに棲む龍神であると解釈されています。  オカミの名を持つ神に関する記述は古くからみられ、『古事記』の神話には闇淤加美神(くらおかみのかみ)が登場します。これは伊邪 ...

■大虬[みずち]▽解説 水に関わりのある精霊もしくは水神のような性質をもつ存在を「みずち」といい、上代の説話などにその名をみることができます。ミズチ(ミツチ)のミは水、チは霊を意味するとみられ、イカヅチ(雷霊)、ノヅチ(野霊)といった自然の精霊と同様の命名法則 ...

■吉弔[きっちょう]▽解説 吉弔は龍の子供として生まれてくるといわれる存在のひとつで、亀のような姿をしているものとされます。名前は単に「弔」とも呼ばれます。 吉弔は『和漢三才図会』では龍蛇部の一種に分類されています(亀は介甲部)。同書は『本草綱目』を引用し ...

■首長竜の霊[くびながりゅう‐れい]▽解説 昭和45年(1970)、福島県いわき市大久町入間沢における首長竜(フタバスズキリュウ)発掘調査の終了時に行われた慰霊祭にて、供養の対象とされたものです。 フタバスズキリュウは白亜紀後期(約8500万年前)の水生爬虫類で、昭和43 ...

■鼉龍[だりゅう]▽解説  龍の類として各種の書物にみえるもので、その実態はワニの一種など実在の生物、もしくはその情報を元に語られた想像上の生物と捉えられています。 『本草綱目』によれば「鼉」は鼉龍の姿を象った文字で、『博物志』がいう土龍と鼉龍は同じもので ...

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